「震美術論」

日本の地質的条件はプレートによる変動帯である事から地震や津波は繰返し発生してきた。そんな特殊な地質条件と美術の世界の動向を組合わせた美術論で、初めて知ったことが多かった。3・11の直前に津波の危険を警告していた山内ヒロヤス、山下文男、飯沼勇義などの活動は全く知らなかった。
こんな記載がある。
「どんな巨大な災害でも、当り前のことが当り前に起きたに過ぎない。だからこそ私たちは、古来より表現という特殊な活動を通じて、この想定外の世界に常に身を置く人類という存在について、日々の中にありながら「日常」に埋没しきってしまわぬよう、懸命に五感を駆使し、目前の世界を「見えるもの」とは別様に表現しようとしてきたのでなかったか。そして、やがてそれが芸術と呼ばれるものとなり、長い間を越えて伝承されていったのではあるまいか。究極的には芸術を食破るものとして災害があるのではなく、私たちが災害と呼ぶものこそ、芸術が生れ落ちた起源としての母胎なのではないのか。」大作なので読むに時間がかかった。
地質屋もどんな災害も起きうるということを、もっと発言していかなければいけないだろうな。


震美術論 [ 椹木野衣 ]
楽天ブックス
椹木野衣 美術出版社シンビジュツロン サワラギノイ 発行年月:2017年09月06日 予約締切日:2


楽天市場


以下はアマゾンの紹介文
自然災害による破壊と復興、そして反復と忘却を繰り返してきた日本列島という「悪い場所」において、
はたして、西欧で生まれ発達した「美術」そのものが成り立つのかー。
東日本大震災をひとつのきっかけに、日本列島という地質学的条件のもとに、
「日本列島の美術」をほかでもない足もとから捉え直すことで、
「日本・列島・美術」における「震災画」の誕生、そして、
そこで「美術」はいかにして可能となるのかを再考する画期的な試み。

〈本書に登場する災害、作家たち〉
リスボン大地震/カント/ヴォルテール/ペストの大流行/御嶽山噴火/関東大震災/三陸大津波/山下文男/飯沼勇義/山内宏泰/伊勢湾台風/赤瀬川原平/東松照明/土砂災害/瓜生島沈没伝説・慶長豊後地震/磯崎新/岡本太郎/安政江戸地震/狩野一信/三陸大津波/山口弥一郎/東南海・三河・昭和南海地震/藤田嗣治/東日本大震災/高山登/笹岡啓子/畠山直哉/村上隆/Chim↑Pom

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック