南相馬市小高区

健康で頑丈な肉体と変形してしまった強靱な精神は、家族の気持ちや誇りを踏みにじり、困惑に追い込んでいるなどとはこれっぽちも思わなくて、あるいは自分が一番賢いと信じ切って楽観的だったからこそ、身の回りの人に過酷の鞭を浴びせているとは気づかなかったに違いありません。
それとも、彼女は力まかせに混乱を生きるという術しか知らなかったのでしょうか。それとも被った絶望を克服しようともがいていたのでしょうか。
島尾伸三著「小岩へ 父敏夫と母ミホを探して」より。伸三氏には数冊の著書と写真集がある。似たようなタイトル「小岩へ 父島尾敏雄への旅」もあります。
南相馬市小高区は大地震と大津波に加えて悲しみの原子力発電所の爆発があったので、2011年3月11日から2016年7月まで立ち入り禁止区域になりました。<中略>これらの時以外にも登久子さんとぼくは、放射能の怖さや立ち入り禁止を無視して、何度か小高の様子を海岸の方まで見て回ったけれど、風が吹きすさぶ荒れ地になってすっかり変わってしまった小高では、おじいちゃんもおとうさんの声も聞こえてこなくて、帰りには沈んだ気持ちになるのでした。
2017年7月には小高も避難解除になり、「埴谷・島尾記念文学資料館」も再開館しました。でも災難の元凶が消え去ったわけではなさそうです。

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