逃亡ルート

今、低賃金で働いている外国人労働者も、この時とあまり変わらないのだろうか。
ポルトガル人によるサトウキビ栽培は、かれらがアフリカ人を奴隷として連れ出す権力なしには展開し得なかった。栽培者から見れば、奴隷となったアフリカ人は新世界におけるサトウキビ労働者としてうってつけであった。というのも、アフリカ人たちは地元に社会関係を持っていなかったために、逃亡ルートを確立することができなかったからである。
アナ・チン著「マツタケ 不確定な時代を生きる術」2019年 より。裏表紙の紹介文。
「本書は、20世紀的な安定についての見通しのもとに近代化と進歩を語ろうとする夢を批判するものではない。……そうではなく、拠りどころを持たずに生きるという想像力に富んだ挑戦に取りくんでみたい。……もし、わたしたちがそうした菌としてのマツタケの魅力に心を開くならば、マツタケはわたしたちの好奇心をくすぐってくれるはずだ。その好奇心とは、不安定な時代を、ともに生き残ろうとするとき、最初に必要とされるものである」
オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌。ホストツリーと共生関係を構築するマツタケは人工栽培ができず、その豊凶を自然にゆだねざるをえない不確定な存在である。そうしたマツタケを採取するのも、移民や難民など不安定な生活を余儀なくされてきた人びとである。生態資源の保護か利用かといった単純な二項対立を排し、種々の不確定性が絡まりあう現代社会の分析にふさわしい社会科学のあり方を展望する。
「進歩という概念にかわって目を向けるべきは、マツタケ狩りではなかろうか」。 anaキャプチャ.PNG

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