「熱源」

今評判の川越宗一「熱源」を読む。作者の視線は一作目の「天地に燦たり」と同じように「読者の心に「熱」を残さずにはおかない」かすかな希望を見据えている。例えば最後の章では
--もしあなたと私たちの子孫が出会うことがあれば、それがこの場にいる私たちの出会いのような、幸せなものでありますように。
と言わせている。
読後の感想は津島祐子「ジャッカ・ドフニ 海の記憶の物語」のそれに近いが、それほど大泣きすることはない。
本の紹介文には「樺太アイヌの戦いと冒険を描く前代未聞の傑作巨篇!」とか、「金田一京助がその半生を『あいぬ物語』としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた」とか書かれている。この山辺安之助とロウ管で有名なブロニスワフ・ピウスツキそして樺太アイヌの頭領バフンケの養女イペカラたちが登場する。このバフンケとイペカラは架空の人物と思っていたがバフンケは実在の人物のようだ。
毎日新聞2018年7月22日配信「樺太(サハリン)のアイヌ墓地から持ち出された地元集落の首長、バフンケ(1855-1919年ごろ、日本名・木村愛吉)の遺骨が、北海道大から遺族へ返 還されることが決まった。アイヌ民族の遺骨は全国の大学などに1,600体以上保管されているが、身元が分かる遺骨は38体のみで、生前の写真や逸話の残る 人の遺骨返還は初めて。」
ピウスツキのろう管の再生音は何度か聞いたことがある。今では何処で聞けるのだろうか。
山田風太郎の明治物のように有名人を登場させるのは時代背景が判っておもしろい。
次は 沢田 和彦「ブロニスワフ・ピウスツキ伝 <アイヌ王>と呼ばれたポーランド人」2019年 を読んでみようかな。
井上紘一「ブロニスワフ・ピウスツキのサハリン民族誌」東北アジア研究センター叢書第63号2018年はダウンロードで読めるのでまずはこちらからにしよう。

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