「人新世とは何か」

この本は2013年に書かれた原書を2018年に翻訳したもので、副題は「地球と人類」の思想史。人新世はAnthropocene(アントロポセン)の日本語訳でじんしんせい又はひとしんせいと読む。Anthropoceneのanthroposは人間を意味する英語接頭語(例えばanthropology 人類学)。ceneは新しいを意味する地質学分野の英語接尾語で年代区分によく使われている(例えばHolocene完新世)。人新世は現在地質学で公式に認められた言葉ではないが、産業革命によるエネルギーの増大・汚染・土地改変や核爆発をマーカーとして、環境科学の世界で使われ始めている。anthro.PNGこの著者のクリストフ・ボヌイユ, ジャン=バティスト・フレソズは二人とも科学技術史・環境史の専門家で地質のことはほとんど触れていない。産業革命以来の産業やエネルギー開発、科学技術の発達、公害等の負の遺産の堆積など自然環境の破壊についての具体的なトピックスが南方熊楠の「十二支考」ばりに、これでもかとばかりにてんこ盛りになっている。事典を読んでいるようで、話が途切れ途切れなため、読み終るまで時間がかかった。人類の活動が地球環境を損うと警鐘したレイチェル・カーソンのような人々は産業革命の初期からいたらしいが、大きな勢力にはとうとうなり得なかった。今回のパンデミックにより、世界中で大気汚染が改善し、炭酸ガスの放出量も縮小したらしいが、数年後には元の木阿弥になってしまうのだろうか。レヴィー=ストロースの言葉「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」

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