天界の葡萄とリンネソウ

今福龍太編「むかしの山旅」の大平晟著「ヌタプカムウシュペ山」1913年 を読む。大雪山はかってヌタプカムウシュペ山と言ったらしい。昔の文章は漢字が難しくて読むのに骨が折れるし、パソコンで一字一字入力するのに文語体はとても時間の掛る作業だ。当時の登山者は博物学を勉強しており、地形、地質、植物、動物について博識であったようだ。というか博識って、もともとそういう人のことだろう。今は悲しいことに、学問が細分化してしまって、すべてを網羅することは不可能だ。
「正午絶巓を辞して高原池畔を優遊すれば、身はこれ春光に浴するが如し、何ぞ知らん下界炎暑に苦しむの人あるを。「エゾゼミ」は深緑の偃松(ハイマツ)に鳴き、「イワツバメ」はしばしば頭上を椋む。「ヤチシギ」の波静かなる池汀を渉るは、何をか漁る。
予はあるいは「リンネソウ」を発見せばやと、しばしばハイマツの下を訪れば、情けなくも蟆子(ブト)の襲来に接す、所謂藪蛇の類か、ただツマトリソウの可憐にもミツバオウレンに伍するあり、噴烟火口付近に於けるガンコウランは、果実甚大にして黒熟す、一喫また一喫以て渇を医す、正にこれ天界の葡萄か。」-----リンネソウは草のように見えるが小低木で、花茎が10cmぐらい立ち上がり、2個ずつ花をつける。分類学の基礎を築いたカール・フォン・リンネがこの植物を愛好しており、この種を記録した際に自らの名前を学名(属名)に付けた。高山植物であり、高山帯から亜高山帯にかけての針葉樹林下に生育している。シベリウスは自身のピアノ曲に『リンネソウ』("Linnaea")と名付けている。
シベリウス:13の小品 リンネ草,Op.76  pf. 関 晴子:Seki, Seiko

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント