長い文章

古川日出男「グスコーブドリの太陽系」2019年より。
北上線の、電車の、その小ささに私は驚いた、なにしろ一輛だけなのだもの、わたしは蝦夷塚をたずねる、そこにならば鬼がいるのかいないのか、そもそも岩手が鬼に作られたというのは本当なのか、たれに訊ねればいい? そうだ北上駅の新幹線乗場の待合室の、わたしは、いちばん最後に腰をおちつけていて、すると鬼剣舞の気配を感じる、鹿踊りも、まあ賢治さん剣舞ですよそれから鹿踊りですよ、昔は達谷の悪路王だ、この王はエミシだったのでしょう、しかし賢治さんはあまり蝦夷のことは書かないですね、あの「原体剣舞連」にはちゃんと「むかし達谷の悪路王」との詩行は入れたけれども、詩、詩? それで鬼はどこ? あのね江釣子の駅でおりて歩いたのだけれども蝦夷たちはどんどん痕跡を消されています、史跡センターは閉鎖、民俗資料館も閉鎖、こんなにも古墳があるのに、あるのに、鬼、どこかに鬼の里があるね、そう、鬼だって新生代沖積世にいるんですから、ええい同時代人だ、鬼、修羅、ああ、おれは一人の修羅なのだ。
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