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デクノボー

今福龍太は知らない世界を紹介してくれるが、いつも難しい。「宮沢賢治 デクノボーの叡智」は表面的にはすんなり読めるが、文学的修辞の裏で主張したいことの本意が分らないので、何かもどかしい。すばらしくいい本であることは間違いないんだけれど。こんな文章がある。私は、賢治とともに、人間が「われわれ」の論理から脱して、愚者の共同体の本当の故郷がある…
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イザベラ・バードの通訳者イトウの物語

明治初期に日本の国内を旅行したイザベラ・バードは多くの国を旅行し、多くの本を書き、世界でも有名である。しかし、日本で通訳者として同行したイトウは長い間、その人物像は不明であったが最近は少し明らかになった。このイトウを主人公にした小説に中島京子「イトウの恋」2005年があるのを知り読んでみた。イトウの日記が見つかり、その経過と日記の内容の…
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花では原則的に色が染まらない

こんなことは知らなかった。 志村:どんな花も色が染まらないのに、紅花だけが、色が染まるんですよね。 石牟礼:そのように、お書きでしたので。 志村:特別な神様のご意志が、そこにあるような気がするの、紅花には。蘇芳は木の幹ですし、茜は地の根でしょ。 石牟礼:根とおっしゃいますね。 志村:ですから、それぞれの分野で役割が違うと思うん…
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古井由吉

古井由吉の小説を初めて読む。図書館にあった「夜明けの家」と「陽気な夜まわり」。いずれも短編小説集。普通の小説と違って、どうもカメラの焦点が合わないような、情景などどうでもいいようで、粘着質な書き方で、現実と虚構のあわいを表現しているのだろうか。耳も遠くなるにつれて、季節ごとに静まりは確かになり重くなり、人がどこへ紛れこんでいようが、いく…
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「人新世とは何か」

この本は2013年に書かれた原書を2018年に翻訳したもので、副題は「地球と人類」の思想史。人新世はAnthropocene(アントロポセン)の日本語訳でじんしんせい又はひとしんせいと読む。Anthropoceneのanthroposは人間を意味する英語接頭語(例えばanthropology 人類学)。ceneは新しいを意味する地質学分…
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[「菊慈童」

円地文子「菊慈童」1984年。古典文学に詳しい著者の78歳頃の作品。登場人物も70代や80代の人が多い。 人が“老いて生きる”とは何なのだろうか。養女夫婦に家を追い出され、若い男に情愛を傾け死んでいった八十四歳の田之内せき。菊水を飲み、八百年美童の姿を保ったという「菊慈童」を八十歳を過ぎた今、最後の力で演じようとしている能役者桜内遊仙…
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「何も持たずに存在するということ」

角田光代2008年の随筆集。 私はきっと、父がどんな男だったのかは知らないままだろう。それは彼がもういないからではなくて、だれかと関わるということはそういうことなんじゃないかと思うのだ。知り得ない人を、その存在も不在もまるごと引受けることではないのかと思うのだ。 (The Last Waltz )の最後に歌われる、”I shall …
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銀河鉄道の父

これはまだ図書館が利用できたときに借りた本の1冊、予想以上に面白かった。宮沢賢治の父の物語というより、息子を溺愛する父となかなか正業に就けない息子の物語だ。作者はどちらに肩入れすることなく、二人の関係を暖かく描いていく。息子であるのも大変だけれども、父親になるというのはさらに大変なことだ読みながら考えさせられた。コロナ後の世界ではどんな…
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ビートルズの幽霊

「ビートルズの幽霊」(2010年)はジョンレノンを追い、9都市を廻って書かれた旅行記。オノヨーコをこれほど悪様に書く人は少ないかも。新しい知見はあまりなかったが、都市の雰囲気は伝わってきた。------- 小さくして父を亡くした子供たちは大変だっただろうなあ。二人ともシンガーソングライターになっているのは知らなかった。 ジョンレノン…
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「評伝 石牟礼道子」

簡単に読めるかと思っていたが、ずいぶん時間が掛った。石牟礼道子全集が出版され始めた頃、非常勤講師をしていた北海道工業大学の図書館に次々と届いていて、それを読むのが楽しみだった。著者の米本さんは晩年の道子さんに了解を取付け、何年もの間、繰返しインタビューをし、周囲の人々にも会い、関係図書も目を通してこの本を書いた。そのためか、いろんなエピ…
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札幌市の図書館は再閉鎖

4月14日から5月6日まで札幌市の図書館は再度閉鎖になった。12日(日)の緊急宣言を受けての措置らしい。13日(月)は新聞が休みの日で、札幌のどの施設が休館になるか詳細は不明だった。図書館も休館になると思い、13日に借りに行ったが、駐車場はガラガラだった。明日から休館との張紙もまだ見当らなかった。1日の猶予じゃ周知は難しい。今回はこれま…
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「熱源」

今評判の川越宗一「熱源」を読む。作者の視線は一作目の「天地に燦たり」と同じように「読者の心に「熱」を残さずにはおかない」かすかな希望を見据えている。例えば最後の章では--もしあなたと私たちの子孫が出会うことがあれば、それがこの場にいる私たちの出会いのような、幸せなものでありますように。と言わせている。 読後の感想は津島祐子「ジャッカ・…
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「レンマ学」

レンマという言葉は普通聞いたことがない言葉である。しかしジレンマやテトラレンマなら聞いたことがある。ギリシア語でジは2、テトラは4を意味する。テトラレンマは古代インド哲学の言葉で漢字では四句分別と書く。肯定、否定、肯定且つ否定、肯定せず否定せずの4つの考え方を表す。エピローグの最初にこう書いてある。「レンマ学」は粘菌と「華厳経」の出会い…
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図書館の再開

札幌市図書館からの連絡 図書施設の一部サービス再開について~4月1日(水曜日)から予約済みの資料の貸出、返却のみ再開します。本棚の本の閲覧・貸出などはできません。事前に貸出の予約をし、受取館に届いた資料が借りられます。 札幌市電子図書館は、各ご家庭のパソコンやスマートフォンで電子書籍をいつでもご利用できます。 ----------…
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「レンマ学」

中沢新一「レンマ学」の順番が回ってきたときに、図書館が閉鎖された。早く読みたいが、予定通り4月から開館するのだろうか。
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母の定義

犬を飼うというのは、ここまでしなければならないのか。うんこまみれの日々。とても覚悟がいる。 伊藤比呂美「犬心」2013より。 「それからタケがやってきて、私は「タケのマム」と呼ばれ始めた。違和感どころか、ぎょっとした。犬を産んだ覚えはなかったので。でも、すぐ慣れた。タケが生きるということも、私が引受けなければ、誰も引受けてやれないのだ…
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説経節

ウイルス騒動が終ったら、一度 説経節を生で聞いてみたい。 「ここに訳しだした説経節の現代語版も、またそのとおり、音楽とともに語られるものではなく、目で追われて読まれるもの、ないしはアカペラで、声に出して読まれるものとして作った、作りたかったのでした、そういう身の丈にあった、わたしの説経節を。」伊藤比呂美著「新訳 説経節 小栗判官・しん…
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逃亡ルート

今、低賃金で働いている外国人労働者も、この時とあまり変わらないのだろうか。 ポルトガル人によるサトウキビ栽培は、かれらがアフリカ人を奴隷として連れ出す権力なしには展開し得なかった。栽培者から見れば、奴隷となったアフリカ人は新世界におけるサトウキビ労働者としてうってつけであった。というのも、アフリカ人たちは地元に社会関係を持っていなかっ…
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古典はいつの時代にもよみがえる

古典はいつの時代にもよみがえる、というよりも、どの時代にも新しくよみがえり得るものこそ、「古典」と呼ぶにふさわしいと井筒は考えている。それは読まれることによって、時空のへだたりを超えて現在に新たないのちをおびるものにほかならない。若松英輔編「井筒俊彦ざんまい」2019年 より。井筒俊彦全集をいくつか読んでみようかな。ずいぶん昔「神秘哲学…
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介護民俗学のセンス・オブ・ワンダー

「驚きの介護民俗学」2012年 より。私は、利用者への聞き書きにいつも「驚き」を感じる。話の展開のなかでこれまで聞いたことがないような職業の経験者であることが分かったり、こちらが予想もしなかった人生を背負って生きてこられた方であることを知ったり、あるいは、利用者がふとみせる行動にその方の生活史ばかりでなく時代が見えてきたりする。そんなと…
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つぎはぎだらけのケア

最初の対談で、個人の中に多様性があるのが大人といっているのが、うれしい。多重人格って言われても気にしない。 鷲田清一・内田樹「大人のいない国」2008年より。第5章 大人の作法(鷲田清一)長く介護士をしている友人は、つぎはぎのパッチワークをもじって「パッチング・ケア」と言い、取り繕いや、すり抜けをもっと積極的に評価したほうがいいと言う…
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自衛の意識が最も燃費のいい戦争の燃料である

第一次吉田内閣の時です。野党から「國の自衛権を否定するのか」というような質問をされた吉田茂は、はっきりと「自衛と言う名で戦争が起こったことは多々あります。ですから自衛権は否定します」と答えています。森達也「誰が誰に何を言ってるの」2010年 より。これは2005年に公開された映画「男たちの大和/YAMATO」の佐藤純彌監督との対談での監…
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環境権

この環境権の考え方はなかなか味わい深い。 環境権というものがあるならば、それは人間が環境を保護する権利ではなく、文字通り、「環境の人間に対する権利」に他ならない、とレヴィ=ストロースは明快に断言している。今福龍太著「レヴィ=ストロース 夜と音楽」2011年より。
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数式の読み方は英語に変えよう

確かに数式はいつもなんと読むか、いつもあいまいだった。 a=b   a is equal to b. または a equals b . x + y =z x plus y equals z . a > b a is greater than b . a ≦ b a…
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センス オブ ワンダー

レイチェル・カーソン「センス オブ ワンダー」の一節 人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。自然界を探検することは、貴重な子供時代をすごすゆかいで楽しい方法の一つに過ぎないのでしょうか。それとも、もっと深い何かがあるのでしょうか。  わたしはそのなかに、永続的で…
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浜田真理子「胸の小箱」

音楽だけを聴いていると、内向的な女性と思えたが、この本を読むととてもそうではないと分かった。音楽で頭角を現すためには、当然の話か。思えば子供の頃から感情を表に出すのが苦手だった。特にネガティブな感情は。愚痴も言えない。感情を出すってどんな感じだろうか。「行かないで」なんて言ったりするのだろうか。口が裂けてもそんなこと言えないなあって、そ…
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ナラ・レポート

先日、テレビで奈良公園のシカを映していた。また、29日に開かれた奈良県の感染症対策本部会議で、知事は12日からの中国人のバスツアー客が成田空港と関西空港を利用し、奈良市の奈良公園に約1時間、立ち寄ったと説明した。ちょうど、津島佑子著「ナラ.レポート」2004年 を読み終わったところだった。冒頭で奈良のシカを殺すところから始まる。こんなこ…
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菊慈童

春湖の(四代目岩井半四郎の菊慈童)。昨年の11月の新聞記事です。熊本県八代市で23日にあった八代妙見祭神幸行列で奉納された笠鉾[かさぼこ]「菊慈童[きくじどう]」の屋根に、たばこの火によるものと思われる焦げ跡が見つかったことが26日、分かった。祭り期間中に何者かが、たばこを屋根の上に投げ込んだとみられる。関係者は「八代の誇りを踏みにじる…
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野生(ワイルド)の人とは、語源的には意志(ウィルド)をもった人のこと

ヘンリー・ソローは昔の人とは思っていた。が、主著「森の生活」を出版したのはダーウィンの「種の起源」より3年前であり、日本ではペリーと日米和親条約が結ばれた年で、つまり江戸時代の人だ。40半ばで亡くなった年に、新渡戸稲造や森鴎外が生まれている。歩くことは、空間の移動であることを超えて、認識の大きな飛躍をもたらす身体知の技法でもあった。下界…
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シンガポール人のアイデンティティ

シンガポールのディック・リーは中国人でありながらマンダリン(北京官話)をしゃべれないマレー化した中国人。不思議に混ざり合った文化的帰属の意識を、彼は英語でこんな風に歌う。 伝統と国際社会 僕のオリエンタル・ハートから 湧き上がるフィーリングを 僕はいったいどう受け止めたらいいのか 東洋人のプライドを守るのか? それともそ…
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