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砕氷艦「ふじ」航海記

第14次南極観測隊(夏隊)の黒田さんが、当時の日記をパソコンに打ち込み、A4の冊子にまとめられた。全70ページ。記述を読んでいると、50年前の記憶が蘇り、一気にタイムスリップしてしまった。黒田さんは当時気象庁神戸海洋気象台の研究者で、観測隊では海洋生物担当だった。「ふじ」航海中は毎日のように海洋物理、海洋化学担当者とともに深度別の海流計…
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「南方熊楠」のSF伝奇小説

文庫本で約600ページの長編だけど、読みやすい。柴田 勝家「ヒト夜の永い夢 」(ハヤカワ文庫JA)2019年。夢談義がながながと続くが、夢に興味がなければ面白くないかも。 その前に読んだ柴田 勝家「アメリカン・ブッダ」(ハヤカワ文庫JA)2020年も秀逸だった。
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飽和潜水

池上永一の最新作「海神の島」は宝探しの物語で規模も壮大でおもしろい。話の展開があまりも劇画的で飛ばし読みしたくなるが、なるほどという箇所もいくつかある。その一つが飽和潜水の描写だ。 一般的にダイビングと言われている、ボンベから圧縮空気を吸う潜水方法(環境圧潜水または軟式潜水)の場合は潜水時間に限界があり、作業できるのは水深約4…
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豪華な世界の終末図

この世で私が最も美しい図譜と感嘆するのは、図4「最初のラッパと災厄(「サン・スヴェールの黙示録」より)」(11世紀)である。これはビザンティンではなくて、ゴシック美術の絵画になるが、金色の翼を天上に広げた天使の構図の素晴らしいこと。背景の赤に天使の黒衣が際立っている。紅蓮の太陽を背景に、炎の赤い雨が地に降り注ぐ。 何と斬新かつ…
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センス・オブ・ワンダー

なぜ私が世界は美しくて不思議に満ちていると感じているかと言えば、それは、自然が美しくて不思議に満ちているからである。人間世界には、理不尽なことも美しくないことも山ほどあるが、自然は本当に美しい。そして、私がまだ実際にこの目で見て体験したことのない自然が、世界にはまだまだたくさんある。それらを見たいし、探求したい。私にとってはそれだけで、…
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地獄の門

「アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空洞」ロバート・マクファーレン 2019 を読んでいたら、少し前に読んだ「塔里木(タリム)秘教考」中野美代子2012 の元ネタと思われることが書かれていて、びっくりしてしまった。 1971年、トルクメニスタンのカクラム砂漠、ダルヴァザの集落の近くにソ連の石油掘削設備がある。突然、大地にひび…
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アンサング・ヒーロー

「内田樹の研究室 2021-11-18」を読んでいたらアンサング・ヒーローという言葉に出会いました。 「雨ニモマケズ」のような人の話です。 長い文章なので、そこだけ切り取ると 例えば、こんな状況を考えてください(例えば、というのが何度も出てきますけれど、こういう問題は具体的な事例を想定しないと、なかなかぴんとこないんですよ)。 …
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「切羽詰まる」や「障害者」

これらは知らなかった。 坑道のどんづまりが切羽である。どうにもならない、どくへも行きようがない、という意味の「切羽詰まる」という言葉は炭鉱の「切羽」からきている、とも言われている。その切羽で岩盤を砕き石炭を掘り出す。なんと絶望的で希望に燃えた行いだろう。 「このガイジ!」 「そっちがガイジだろ!」 食卓。ムスメたちが小声で 罵倒…
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詩歌の言葉としての方言

私は方言を「土語」というふうには思っていません。方言を、詩歌の言葉として非常に高級だと思っていて、詩の言葉として蘇らせたいという気がありました。それで「苦海浄土」の会話は。絶対、標準語では書かないぞと思ってました。水俣弁、まあ天草弁ですが、それを上質の言葉として書き直そうと思った。方言を素材にして、言葉を書き直したいと思って書いているん…
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本の評価

小説は何の先入見もなく、ただ読むだけで評価されるべきである、という、もっともらしい意見があるが、私は信じない。読者において、「先入見なし」などあるえないからだ。そして、全く白紙のつもりで読んでいても、そこには同時代の、あるいは読み手の属する共同体内の規範がどこかで投影される。小説ではないが、たとえばデュシャンの「泉」(ただ便器を題名とと…
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「ザ・ビートルズ:Get Back」

未公開映像を含む 6 時間超の貴重なリストア映像によって構成されるオリジナル・ドキュメンタリー・シリーズとして、11 月 25 日(木)・26 日(金)・27 日(土)、3 話連続独占見放題で配信! 詳細はコチラ▶︎ ︎https://disneyplus.disney.co.jp/progr... -----------…
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ひどい雨がふりそうなんだ

Bob Dylan - A Hard Rain's A-Gonna Fall 和訳 カーソンは「沈黙の春」で、「人間の叡智」である科学技術が引き起こしていた環境汚染に警告を発した。--------それも、フォークシンガーやビート詩人といった、当時のカウンター・カルチャーの担い手からの警告という形をとったのである。その彼女の取り上げたテ…
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成長しない時代

私は今後、日本が再び製材成長する時代は来ないと思っています。 根拠はもう日本人の大多数は、新しく欲しいものがないからです。これでは内需が起こりようがない。そして少子高齢化。これもいかなる政策を試みても焼け石に水でしょう。なぜならば、私たちの多くは、現在手にしているユートピアを手放したくないのです。 浅羽通明「」2012年 より。
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「不知火のほとりで」

米本浩二「不知火のほとりで-石牟礼道子終焉記」2019年 より。 石牟礼道子さんの30代の詩を著者が読む場面がある。 詩「花がひらく」の一部 とある日/音もなく/そらのいちばん高いところから/空はゆっくり/ひき裂ける/そらは ぱっくり/空は静かに/あたしの体のなかにひろがって/足のねもとの地面ながら/ひき裂けてしまう …
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文化の違い

お金のある者は羊を買い、夕暮れ時に町や広場で一斉に羊の頸動脈を切って神への供物とする。”慈悲あまねきアラーの御名において”と唱え、一刀のもとに手際よく殺す。 私の住んでいたアパートの庭先もカブチが羊を殺す場になったが、我が家の子供達には、到底見せられなかった。それをトルコの子供達は見ながら育つわけで、感じ方の違いというものはどう努力し…
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「注文の多い注文書」

小川洋子とクラフオ・エヴィング商会の往復書簡の形態をとった幻想的童話集。2014年刊行。 拝啓、クラフオ・エヴィング商会様、この世にないものを探してください------小川洋子 かしこまりました、古今東西、時空を超えて、探して参ります-------クラフオ・エヴィング商会 種本となった五つの小説は、一つも読んでいない。残念…
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自身の感受性を高める

目にはしていながら、ほんとうは見ていないことも多いのです。見過ごしていた美しさに目をひらく一つの方法は、自分自身に問いかけてみることです。 「もしこれが、いままでに一度も見たことがなかったものだとしたら? もし、これを二度とふたたび見ることができないとしたら?」と。 「13歳からのレイチェル・カーソン」かもがわ出版 2021年 …
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「されく魂」より

のさりとは天の恵みである。不運を幸運と読み替える。そういう豪儀な心の持ち主が水俣にはいた。 それを思い出して嫁の栄子は、「これがなぁ」、一番むずかしか。恨み返すなちゅうことが」と言って涙ぐんだ。 しかし、長い戦いの果てに彼女は、「このきつか躰で、人を恨めばさらにきつか。恨んで恨んで恨み死にするより、許そうち思う。チッソも許す。あそこ…
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されく(漂浪く)人

嵐山光三郎「漂流怪人きだみのる」2016年を読む。怪人を書くのにぴったりな文体で、あとがきにこうある。 知識は教わって覚えた場合と、考えて獲得した場合は全く異なってくる。自分で考える訓練をしたものは、挫折を克服する鍵を発見する準備ができている。ファーブルがそういう人であった。 本の紹介文:青年嵐山が出会った、破天荒学者の痛快…
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すべてのものに命がある

レイチェル・カーソン「センス・オブ・ワンダー」文庫本2021年 、に収められた角野栄子「見えない世界からの贈りもの」より。 レイチェル・カーソンも、宗教で言う命とはまた別の命というものを感じとっていたのでしょう。その命は、人々の想像力を喚起し、物語る力を育むものです。何も芸術家だけが創造しているわけではありません。自分は創造とは無縁だ…
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聖地と地質

諏訪大社しかり、宇佐八幡しかり、中央構造線やフォッサマグナの上に聖地がたくさんある 中央構造線上に熊野も伊勢も豊川稲荷も、それから聖地とされる祖国の石鎚山とか、九州の阿蘇山なんか全部乗っているのは偶然とは思えないですから。地質学的には不安定なんだけど、鉱物資源が一番豊富な場所でもあります 「日本人にとって聖地とは何か」内田樹、釈撤宗…
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作家や作品から声をお借りしましたと、各章で断ること

以前、ダイジェスト版を読んでいて、これは面白そうだと思っていたので、すべて読んでみた。「とげ抜き地蔵新巣鴨地蔵縁起」伊藤比呂美著2007年。長編詩のような、講釈本のような、阿呆陀羅経のような文体で、いろんな詩人の声が中に取り込まれていて、不思議なリズムがあり、暗い話が多いけれど、明るさや希望に満ちてもいる。宮沢賢治の「空のみじん」や石牟…
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ヘビ嫌いとクモ嫌い

養老:ヘビ嫌いとクモ嫌いは、明らかに分かれるんです。クモの嫌いの人はたいたいヘビが大丈夫。ヘビの嫌いな人は,クモが大丈夫人が生まれながらにして持つ感性には生物としての倫理がある。それを大切にして、人間以外の自然とも感動を分かち合う生き方を求めていけば、崩壊の危機にある地球も、ディストピアに陥りかけている人類も救うことができる。 養老孟…
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文学は実学である

荒川洋治「文学は実学である」2020年 より この世をふかく,ゆたに生きたい。そんな望みをもつ人になりかわって、才覚に恵まれた人が鮮やかな文や鋭いことばを駆使して、ほんとうの現実を開示してみせる。それが文学のはたらきである。 文学は、経済学、法律学、医学、工学などと同じように「実学」なのである。社会生活に実際に役立つものなのである。…
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白文と訓読文

楊逸著「金魚生活」2009年。終盤に中国の古典について、中国人と日本人が白文と訓読文で会話しているのが面白かった。
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「宇宙考古学の冒険」

副題は「古代遺跡は人工衛星で探し出せ」。サラ・パーカック著 熊谷玲実訳。衛星写真が使えるようになり、早くに考古学に使えるようにして、多くの遺跡を発見したが、遺跡現場の作業は相変わらずアナログの世界というのが楽しそうです。膨大な画像を一般市民を巻き込んで研究する道を歩き始めているそうです。TEDでは2016年にプライズ賞(賞金100万ドル…
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知者と賢者と直感力

何もわからない素人さんに、難しいことを分かりやすく説明してあげてリテラシーを上げる。これが啓蒙型の考えでしょう。僕が先ほど「家事的な発想」で言いたかったのは、もはやこうした啓蒙型ではダメだということなんです。科学者は今や賢者ではなく、たんなる知者にすぎない。特定分野について人より多くのことを知っているだけの存在です。そうではなく賢者とは…
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「ヒットラーの秘密図書館」

彼の政治家としての短いキャリアは、恫喝と口車とペテンの上に築かれていた。否定的で辛辣な警句を駆使して、彼は批判を封じ込め、注意を逸らしてきた。演説はうまかったが、作文は苦手で、「わが闘争」は文法の誤りや誤字脱字が多すぎて、編集に1年もかかったらしい。 訳者あとがきでは。 ヒットラーは読書家だった。少なくとも一晩に一冊、ときにはそれ以…
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泣き娘

 小島環「泣き娘」は則天武后の時代の哭女を主人公にした小説で帯に歴史青春ミステリーとあり、唐の歴史が分かって面白かった。  泣き女(なきおんな)または泣女(なきめ)または泣き屋(なきや)は、葬式のときに雇われて号泣する女性である。哭き女、哭女とも書く。  現在の日本では職業としては存在しないが旧習として存在し、中国、朝鮮半島、台湾、安…
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